エーミングのターゲットとは|保有義務・共同保有・借用と、そろえる前の確認点
エーミングのターゲットとは
静的エーミングで、車の前方などに置いてカメラやレーダーに認識させる専用器具です。
このページでは、ターゲットを中心に、静的エーミングでそろえる機器、ターゲットの保有義務、共同保有や借用の考え方、置き方の一般原則、購入や借用の前に確かめることを整理します。数字は載せません。機器の具体的な寸法や置く距離は車種ごとに違うため、ここでは数字を挙げず、整備要領書のどこを見るかを示します。エーミング全体の流れや外注の判断は「エーミングとは」をご覧ください。
静的エーミングで使う機器の種類
認証の必要機器は水準器と整備用スキャンツールの2点で、ターゲットは要件に入っていません。
| 機器・情報 | 役割 | 認証要件での扱い |
|---|---|---|
| 整備用スキャンツール | カメラやレーダーの機能調整を指示し、故障コードを読み取り、消去します。 | 必要機器です。少なくとも1車種以上を整備できるものを1台持てば足ります。 |
| 水準器 | 床や車両の水平を確かめ、車両とターゲットを正対させるのに使います。 | 必要機器です。 |
| ターゲット等の専用器具 | カメラやレーダーに認識させる基準になります。 | 保有は求められず、入手できる体制があれば足ります。 |
| 整備要領書(型式固有情報) | ターゲットの種類、位置、作業環境、手順を示します。 | 入手できる体制が要件です。 |
電子制御装置整備だけの認証を受ける場合に必要な作業機械等は「水準器」と「整備用スキャンツール」の2点だと、近畿運輸局の認証取得資料に書かれています。スキャンツールは、国土交通省の告示で、少なくとも1車種以上について排出ガス発散防止装置、制動装置、かじ取り装置、前方監視用のカメラやレーダーを使うセンシングシステムに対応し、故障コードの読み取り・消去やセンシングシステムの機能調整ができることなどが求められています。要件に合う機器の情報は国土交通省の自動車特定整備事業のページから確認できます。
認証で設置したスキャンツールで対応できない車種が入庫したときのために、2台目以降は共同で保有するスキャンツールを使うことも認められています。スキャンツールの選び方と補助制度は、姉妹サイトの「整備工場のスキャンツール」にまとめています。
エーミングターゲットの保有義務(国土交通省FAQ問6)
必要なときに入手する体制があれば、ターゲットを自社で持つ必要はありません。
保有を求めない理由について、資格取得講習テキストは、ターゲット等の専用器具や整備に必要な情報は自動車メーカー・車種ごとに多種多様で、全車種分を保有するのは困難だからだと説明しています。そのうえで、実際の作業では必要になるため、他の整備事業者からの借用や共同保有を含めて入手する方法を確立しておく必要がある、としています。
作業場そのものも、他の事業者と共同で使ったり、事業場と離れた場所に設けたりできます(同FAQ問8)。敷地が足りない工場は、管轄の運輸支局整備部門に相談してください。まず相談が先です。認証の申請手順は「特定整備の認証の取り方」にあります。
ターゲットの共同保有・借用で決めておくこと
国の資料が示すのは「入手できる体制」までで、取り決めの中身は事業者どうしで決めます。
共同保有や借用の具体的な契約の形は、国の資料に決められていません。そのため、どの程度の書面を用意すればよいかは申請前に管轄の運輸支局で確かめてください。実務の面では、作業当日にターゲットが手元にない事態を防ぐため、次のような点を相手と決めておくと運用が安定します。
- 対象となる車種:共同で持つターゲットがどのメーカー・車種に使えるかを、整備要領書や機器の対応表で一覧にしておきます。
- 貸し借りの手順:予約の方法、受け渡しの場所、返却までの日数を決めます。入庫の予定が重なったときの優先順も決めておきます。
- 保管と点検:ターゲットの面に傷や汚れがあると認識に影響しかねないため、保管する場所と、使う前に状態を確かめる人を決めます。
- 破損時の扱い:運搬中や作業中に壊れた場合の負担を決めます。ここは揉めやすい点です。
- 記録:どの車両の作業でいつ使ったかを残しておくと、後から作業の条件を確かめられます。
入手先はもう一つあります。ターゲットはメーカーからも入手できます。法第57条の2による整備情報の提供義務の範囲には、整備要領書や専用スキャンツールとともに「ターゲット等の作業機器」が含まれる、と資格取得講習テキストに書かれています。メーカーごとの問い合わせ先は、国土交通省の「自動車の点検及び整備に関する情報の提供義務」のページに一覧があります。整備要領書の入手先は「FAINES(ファイネス)とは」で解説しています。
純正ターゲットと汎用ターゲットの考え方
判断の基準は、その車の整備要領書が求めるターゲットと手順に合っているかどうかです。
入庫の多くが特定のメーカーに偏っている工場なら、そのメーカーの純正品を軸にそろえる方法があります。複数メーカーの車が入る工場では、対応範囲の広い機器と純正品の借用を組み合わせる考え方もあります。どちらが合うかは、過去の入庫実績と、エーミング対象車の比率で判断してください。対象車の見分け方は「エーミング対象車種一覧」と「エーミング対象車両の検索方法」にあります。
機器の価格は、機器メーカーや販売店に見積りを依頼して確かめてください。このページでは特定の機器メーカーの製品を推薦しません。決め手は整備要領書です。
ターゲットの置き方の基本
車ごとの条件は整備要領書に従い、そのうえで共通する注意点を押さえます。
- 車両にゆがみがあるとエーミングが正しく終わらないおそれがあるため、四輪アライメントやボディアライメントに不具合がない状態で作業します。
- センシングに使われるレーザーは目を痛める可能性があるため、直視しないようにします。
- ターゲットの位置、高さ、車両との角度は車種ごとに整備要領書で決められており、ほかの車種の数値を流用しません。
原則として、エーミングは電子制御装置点検整備作業場で行います。ただし、車種によってはその作業場で必要な広さが取れない場合があります。資格取得講習テキストによると、やむを得ない場合で、整備要領書がエーミングを屋内に限っていなければ、事業場の敷地内に限って作業場以外の場所で行えます。このときは作業場所の届出は要りませんが、特定整備記録簿にエーミングを行った場所や天候などを書きます。記録簿の書き方は「特定整備記録簿の書き方」をご覧ください。
ターゲットをそろえる前の確認項目
買うか借りるかを決める前に、入庫の傾向と作業場の条件を確かめます。
- 入庫車の傾向を見る:直近の入庫を、メーカー別、エーミング対象かどうかで数えます。フロントガラス交換やバンパー脱着が多い工場ほど、対象になる作業が増えます。
- 整備要領書を入手する:よく入るメーカー・車種の整備要領書で、必要なターゲットの種類、置く位置、作業場の広さと条件を確かめます。
- スキャンツールの対応を確かめる:手元のスキャンツールで、その車種の機能調整ができるかを確認します。ターゲットがあってもスキャンツールが対応していなければ作業は終わりません。
- 作業場の広さと床を確かめる:整備要領書の条件と、自社の電子制御装置点検整備作業場の奥行・間口を比べます。足りない車種は、敷地内の別の場所が使えるか、外注にするかを決めます。
- 入手の方法を決める:自社で買う、共同保有する、借りる、メーカーから入手する、のどれにするかを車種ごとに決めます。
- 保管場所と管理の担当を決める:変形や汚れを防げる保管場所を用意し、点検の担当を決めます。
エーミングをしないまま引き渡した場合の影響は「エーミングをしないとどうなる?」、該当する作業の範囲は「特定整備に該当する作業一覧」にまとめています。作業する人の資格は「エーミングに必要な資格と講習」、お客さまの所でエーミングを頼まれたときの決まりは「訪問特定整備とは」で解説しています。
エーミングのターゲットに関するよくある質問
エーミングのターゲットを持っていなくても認証は受けられますか。
受けられます。国土交通省のFAQ問6は、必要なときに入手する体制があれば保有する必要はないとし、事業場間の共同保有や必要な際の借用でもかまわないとしています。申請書には、どの方法で入手するかを記入します。
認証に必要な機器は何ですか。
電子制御装置整備だけの認証なら、水準器と整備用スキャンツールの2点です。スキャンツールは、少なくとも1車種以上を整備できるものを1台持っていれば足ります(FAQ問7)。
ターゲットを置く距離はどこで調べますか。
メーカーの整備要領書で調べます。距離の基準が車両前端かセンサーかも車種によって違うため、整備要領書の指示どおりに治具などで測ります。整備要領書はFAINESやメーカーの窓口から入手できます。
動的エーミングだけの車でもターゲットは要りますか。
動的エーミングはターゲットを置かずに走行して調整する方法で、動的エーミングのみの作業は特定整備の対象外です。ただし、カメラ等の交換やコーディングを伴う場合は特定整備の対象になります。静的エーミングも必要な車かどうかは整備要領書で確かめてください。
エーミングの作業履歴や入庫の予定をソフトで管理できますか。
どの車にどのターゲットを使ったか、いつ作業したかは、自動車整備システムや自動車整備ソフトで車両ごとに残しておくと、次の入庫で条件を確かめやすくなります。整備システム・整備ソフト DREAM POWER は整備記録に加えて車両販売システムの機能もあり、車販ソフトを別に用意しなくても販売と整備の顧客情報を一つにできます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの選び方、整備ソフト 安いものを探す場合、整備システム リースなしの条件で選ぶ場合も、日本カーネットにご相談ください。
出典・関連ページ
このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。
- 国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」(問6〜問8):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001388156.pdf
- 国土交通省「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキスト:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001331469.pdf
- 近畿運輸局「自動車特定整備事業の認証取得について」:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000246231.pdf
- 道路運送車両法施行規則 第57条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 国土交通省「自動車特定整備事業について」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000016.html
- 国土交通省「自動車の点検及び整備に関する情報の提供義務」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000008.html
- 国土交通省「電子制御装置整備の対象車両」(メーカー作成リスト):https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_Target_vehicle.html
※ターゲットの種類、置く位置、作業環境は車種ごとに違います。作業はメーカーの整備要領書に従ってください。認証の手続きは管轄の運輸支局整備部門にご確認ください。
EV / ADAS
EV・ADAS整備ガイド
エーミング、高電圧整備、ADASの整備を、制度と作業の両面からまとめています。







