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ADASのセンサーの種類と仕組み|カメラ、ミリ波レーダー、LiDARの違いと交換時の注意

ADASのセンサーの種類

国の講習テキストが挙げるのは、カメラ、ミリ波レーダー、赤外線レーザーの3系統です。

ADASのセンサーとは、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシストなどの運転支援装置が、車の周りの車両、歩行者、白線を検知するために使う部品です。国土交通省の「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキストは、前方を見るセンサーとして単眼カメラ、複眼カメラ、ミリ波レーダー(30〜300GHzの電波)、赤外線レーザー(波長760〜1000nm程度の光)を挙げ、赤外線レーザーの照射方向を細かく変えて物の判別までできるようにした技術をLiDARと説明しています。このほか、バンパーに付く超音波センサーが駐車支援やペダル踏み間違いの抑制に使われています。どのセンサーも検知の得意不得意があり、1台に複数を組み合わせる車があります。

このページは、特定整備の認証を持つ工場の整備士の方に向けて、センサーごとの仕組み、取付位置、交換や脱着のときに気を付けることをまとめたものです。ADASの機能の一覧は「ADAS(先進運転支援システム)とは」、センサーの向きを合わせる作業の手順は「エーミングとは」に分けています。

カメラ(単眼・複眼)の仕組みと取付位置

フロントガラス上部に付き、画像から人、車両、白線、道路標識を読み取ります。

ADASのカメラとは、主にフロントガラスの上部(大型トラックなどではダッシュボードの上)に付き、前方を撮影した画像を解析して人、車両、道路の白線を見分けるセンサーです。道路標識を読み取る車もあります。国の講習テキストによると、複眼カメラは間隔をあけた2つのカメラの視差で距離を測るため、識別と距離の測定の両方に優れます。単眼カメラは視差が使えないので、連続する画像で対象物の高さや面積の変化を処理して距離を推定し、距離の精度は他の方式に比べて一般に劣ります。カメラは物が何であるかを判別できる反面、光や天候の影響を大きく受けるため、ガラスの汚れや曇りも検知の妨げになります。

カメラはガラス越しに前を見ているので、ガラスの状態がそのまま性能に響きます。トヨタ MIRAI の取扱説明書は、カメラ前部のガラスに透明なものを含むステッカーやフィルムを貼らないよう求め、その範囲をガラス上端からカメラ下端の約1cm下まで、幅はカメラ中心から左右約10cmと示しています。ガラスに傷やひびがあれば交換し、交換後はカメラの再調整を行う、とも書かれています。

同じ取扱説明書は、カメラの取り付け位置や向きを変えないこと、インナーミラー周辺の部品や天井を改造しないこと、ボンネットやバンパーに視界をさえぎるアクセサリーを付けないことも挙げています。ドライブレコーダーやETCのアンテナを後付けする作業でも、カメラの視界にかからない位置かを確かめておくと安全です。

ミリ波レーダーの仕組みと取付位置

電波の反射で距離と相対速度を測り、雨や霧に強いのが特長です。

ミリ波レーダーとは、30GHz〜300GHzの周波数帯、真空中の波長が1mm〜10mmの電波(ミリ波)を前方に放射し、先行車などからの反射波を受信して、受信までの時間差や周波数の変化から距離と相対速度を求めるセンサーです。国の講習テキストは、主にフロントグリルやバンパの裏側に付けられていると説明しています。ミリ波は雨、霧、雪の影響を受けにくく、物体の検知に優れますが、物体が何であるかの判別はできません。電子スキャンと組み合わせて自車線上の先行車や対向車の有無を割り出し、そのデータをECUに送ります。カメラと組み合わせ、識別をカメラ、距離をレーダーが受け持つ構成もあります。

取付位置は車種で違います。ホンダ ACCORD の取扱説明書では、前方のレーダーセンサーはフロントグリルにあるHondaエンブレムの奥に置かれ、前後のバンパーの内側にもレーダーセンサーがあると説明されています。トヨタ MIRAI ではフロントグリル内にレーダーがあります。エンブレムやグリルの裏にあるため、外から見ただけでは付いていると気付きにくいセンサーです。

レーダーの前にある部品は、電波の通り道でもあります。ホンダの取扱説明書は、エンブレム、フロントグリル、バンパーを塗装したりステッカーを貼ったりしないこと、交換しないこと、修理を行うときは販売店に相談することを求めています。トヨタの取扱説明書も、レーダーとレーダー専用カバーの塗装や、周辺へのステッカー貼付を禁じています。補修塗装の可否や条件はメーカーの修理書に従います。

赤外線レーザーとLiDARの仕組み

光で測るので距離の精度は高く、測れる距離は短めです。

赤外線レーザーとは、主にフロントガラスの上部に付き、車両前方に赤外線のレーザー光をパルスで放射して、反射光が戻るまでの時間差から先行車との距離や相対速度を求めるセンサーです。国の講習テキストによると、波長が760〜1000nm程度とミリ波よりさらに短いため距離の測定精度は高いものの、測れるのは数mから数十m程度です。光なので逆光や天候の影響を受けやすく、時速30km以下程度の低速でだけ作動するようにした装置が多いとされています。物体の種類は見分けられませんが、照射方向を細かく連続的に変えて物体を判別できるようにした技術がLiDAR(Light Detection And Ranging)です。

講習テキストは、安全作業の注意として、センシングに用いられるレーザーは目を痛める可能性があるため直視しないよう書いています。センサー部をのぞき込む場面のある点検は、自社の作業手順書にこの注意を書き足しておくと、新しく入った整備士にも伝わります。

国の講習テキストは、自動運行装置(レベル3以上の自動運転システム)の構成要素として、カメラ、レーダー、レーザースキャナー、ECUを図で示しています。レベル3以上の車ではセンサーの数が増え、調整の対象も広がります。自動運行装置の扱いは「自動運転のレベルとは」で説明しています。

超音波センサーの仕組みと検知しにくい条件

バンパーに埋め込まれ、近くの障害物を音波で検知します。

超音波センサーとは、特定の方向に超音波を送り、対象物に当たって戻ってきた音波を受信して障害物を検知するセンサーです。マツダ CX-60 の取扱説明書では、前後の超音波センサーをパーキングセンサー、AT誤発進抑制制御、後退時の自動ブレーキなどが利用すると説明され、検知範囲の図には約50cmから約1m50cmの距離が示されています。検知できるのはバンパー周辺の近い範囲に限られます。トヨタやマツダの取扱説明書は、針金やロープのような細い物、綿や雪のように音を吸う物、背の低い物を検知しにくい物として挙げ、センサーに氷、雪、泥が付いたときや大雨のときも正しく検知しないことがあるとしています。

取扱説明書には、整備や用品の取り付けに関わる注意もあります。トヨタ MIRAI はセンサー付近に字光式ナンバープレート、フォグランプ、フェンダーポール、無線アンテナなどを付けないこと、センサーの塗装や分解をしないこと、バンパーやグリルの脱着、交換が要るときは販売店に相談することを挙げています。洗車のときは高圧洗車機の水やスチームをセンサーに直接当てないよう書かれています。マツダ CX-60 は、サスペンションを改造しないこと、バンパーを修理、交換、塗装するときは販売店に相談することを求めています。

ADASセンサーの比較(得意と不得意)

取付位置と弱点を並べると、入庫時にどこを見ればよいかが分かります。

センサー主な取付位置得意なこと苦手なこと
単眼カメラフロントガラス上部車両や歩行者の識別、白線や標識の検出距離の推定の精度、逆光や悪天候
複眼カメラフロントガラス上部識別と距離の測定の両方光や天候の影響
ミリ波レーダーフロントグリルやバンパの裏側(エンブレムの奥など)距離と相対速度、雨、霧、雪の中での検知物体の種類の判別
赤外線レーザー(LiDAR)フロントガラス上部など距離の測定精度測れる距離が短い、逆光や天候の影響
超音波センサー前後のバンパー近くの障害物の検知細い物や音を吸う物、バンパー直下、氷や泥の付着

表は国の講習テキストと、トヨタ、ホンダ、マツダの取扱説明書の記載をもとにしています。同じ種類のセンサーでも、作動する速度域や検知の範囲はメーカーと車種で違います。故障探求では、国の講習テキストが書くとおり、装置の性能の限界による非作動なのか、不具合なのかを先に切り分けます。

ADASセンサーの交換と脱着の注意(カメラ・レーダーのエーミング)

センサー本体だけでなく、付いている部品やガラスの交換でも調整が要ります。

ADASセンサーの交換や脱着で注意するのは、作業のあとにセンサーの向きを合わせ直すエーミングが要るかどうかです。トヨタ MIRAI の取扱説明書は、レーダーやフロントグリルを脱着、交換したとき、フロントバンパーを交換したときはレーダーの再調整が要り、フロントガラスを交換したらカメラの再調整を行うとしています。国の講習テキストも、センサーが付いたバンパやフロントガラスを交換したときは、不具合が出ていなくても調整を行うと書いています。前方のカメラ、ミリ波レーダー、赤外線レーザー等の取り外しや調整、それらが付いたバンパ、グリル、窓ガラスの脱着は特定整備(電子制御装置整備)に当たります。
  1. 取付面とブラケットを見る:衝突修理の車は、センサーの取付面やブラケットに曲がりがないか確かめます。ホンダやトヨタの取扱説明書は、レーダー周辺に衝撃を受けたら見た目に関係なく点検を受けるよう求めています。
  2. 前にある部品の扱いを確かめる:エンブレム、グリル、バンパーの塗装や交換は、メーカーの修理書で可否と条件を確かめます。社外品への交換は、取扱説明書が交換しないよう求めている車があります。
  3. 車両の状態を整える:講習テキストは、四輪アライメントやボディアライメントに不具合がないことを調整の前提としています。タイヤ空気圧も規定値に合わせます。
  4. 調整の方法を確かめる:静的エーミング、動的エーミング、その両方のどれが要るかは車種で違います。整備要領書で手順と作業環境を確かめます。
  5. 完了を確かめる:スキャンツールで調整の完了と故障コードの消去を確かめ、記録簿に作業を記載します。

ターゲットの種類と置き方は「エーミングのターゲット」、エーミングが要る車の探し方は「エーミング対象車種一覧」、調整をしなかったときの影響は「エーミングをしないとどうなる?」に書いています。特定整備に当たる作業の範囲は「特定整備に該当する作業一覧」で確認してください。

ADASセンサーに関するよくある質問

ミリ波レーダーとLiDARは何が違いますか。

使う波が違います。ミリ波レーダーは波長1〜10mmの電波で、雨や霧に強い一方、物体の種類は見分けられません。LiDARは波長760〜1000nm程度の赤外線レーザーの照射方向を細かく変えて物体を判別する技術で、距離の精度は高いものの、光なので天候や逆光の影響を受けやすくなります。

ミリ波レーダーを交換したら何が必要ですか。

取り付けたあとにレーダーの向きを合わせるエーミングとECUの調整が要ります。前方のミリ波レーダーの取り外しと調整は特定整備(電子制御装置整備)に当たるので、認証を受けた工場が整備要領書に沿って行います。

エンブレムやグリルを社外品に替えてもよいですか。

レーダーがエンブレムやグリルの奥にある車では、取扱説明書が交換や塗装をしないよう求めている例があります(ホンダ ACCORD など)。交換する場合は、メーカーの修理書で使える部品と調整の要否を確かめます。

超音波センサーが反応しないときは、どこから見ますか。

まずセンサー表面の泥、雪、氷、ステッカーと、周辺に後付けした用品を確かめます。取扱説明書には、雨や凍結、凹凸道で検知しにくくなることが書かれています。そのうえで、スキャンツールで故障コードを確かめ、バンパーへの衝撃の有無をお客さまに聞きます。

センサーの交換やエーミングの記録はどう残しますか。

交換した部品と調整の結果を車ごとにひもづけて残せる自動車整備システムや自動車整備ソフトがあると、次の入庫で前回の作業を確かめられます。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER は整備の履歴に加えて車両販売システムの機能を持ち、車販ソフトと台帳を分けずに使えます。40社の整備システム 比較資料(無料)もご用意しており、整備ソフト おすすめの選び方、整備ソフト 安い導入、整備システム リースなしの契約形態についてもご相談ください。

出典・関連ページ

このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。

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※本ページは国の資料とメーカーの取扱説明書を整理したものです。センサーの取付位置、調整の方法、補修の条件は車種ごとに違うため、作業の前に整備要領書と修理書で確認してください。

EV / ADAS

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エーミング、高電圧整備、ADASの整備を、制度と作業の両面からまとめています。