特定整備記録簿の書き方|記載事項・保存期間・記入例・様式の入手先・電子保存

特定整備記録簿の書き方|記載事項・保存期間・記入例と電子保存への対応

特定整備記録簿とは

認証を受けた事業場が、特定整備を行ったときに作成・保存する記録簿です。

特定整備記録簿は、認証工場が特定整備を実施したときに作成し、一定期間保存しなければならない記録です。2020年(令和2年)4月1日の特定整備制度の施行にあわせて、それまでの「分解整備記録簿」から名称が変わりました。従来の分解整備に加えて電子制御装置整備が特定整備の範囲に入ったため、エーミング作業を行った場合もこの記録簿に残す必要があります。

記録簿は「作業をした証拠」であると同時に、お客様への説明資料、次回入庫時の判断材料、そして監査や立入検査で確認される書類でもあります。名称が変わっただけと考えて従来どおりの記載を続けていると、電子制御装置整備の実施内容が書かれていない、作業者・完了日が抜けているといった不備につながります。制度の全体像は「特定整備制度とは」のページで解説しています。

4年間の経過措置期間は2024年(令和6年)3月31日で終了しています。2024年4月1日以降、電子制御装置整備を行うには認証が必要で、認証事業場には記録簿の作成・保存義務があります。詳しくは「経過措置期間」をご覧ください。

特定整備記録簿に記載する事項

車両情報・点検の結果・整備の概要・完了年月日・作成者が柱になります。

記載する項目は、大きく次のように整理できます。様式は事業場ごとに異なる場合がありますが、記載すべき内容そのものは共通です。

車両を特定する情報登録番号・車台番号・車名/型式・初度登録年月・走行距離
点検の結果装置ごとの状態。良否だけでなく交換・調整が必要と判断した根拠まで
整備の概要実施した作業内容。電子制御装置整備(エーミング)は装置名・方式まで
完了年月日点検・整備が完了した年月日。保存期間の起算日になる
作成者・事業場作成者の氏名、事業場の名称・所在地・認証番号
車両を特定する情報自動車登録番号(ナンバー)、車台番号、車名・型式、初度登録年月、走行距離
点検の結果点検した装置ごとの状態。良否だけでなく、交換・調整が必要と判断した根拠を残す
整備の概要実施した作業内容。分解整備の内容に加え、電子制御装置整備(エーミング作業など)を行った場合はその内容と方式
完了年月日点検・整備が完了した年月日。保存期間の起算日になる
作成者・事業場記録簿を作成した者の氏名、事業場の名称と所在地、認証番号
その他使用者へ説明した内容、外注した工程があればその事業場名など

電子制御装置整備を行った場合に特に抜けやすいのが「整備の概要」です。どの装置に対して、静的(ターゲット式)と動的(走行式)のどちらの方式でエーミング作業を行ったのか、作業前後に故障コードの確認をしたのか、といった具体的な内容まで書いておくと、後からの問い合わせにも答えられます。エーミング作業そのものの内容は「エーミングとは」のページで解説しています。

特定整備記録簿の保存期間

記載の日から2年間の保存が必要です。

特定整備記録簿は、記載の日から2年間保存しなければなりません。起算日は「記載の日」ですので、実務では点検・整備の完了年月日を基準に管理するのが分かりやすくなります。車両ごと・入庫ごとに完了日が異なるため、月単位でまとめて廃棄する運用にすると、まだ保存期間内の記録簿を捨ててしまう危険があります。

起算日は「記載の日」/実務では点検・整備の完了年月日を基準に管理します。入庫ごとに完了日が違うため、年度単位でまとめて廃棄する運用にすると、保存期間内の記録簿を捨ててしまう危険があります。

紙で保管する場合は、保管場所と検索性が課題になります。「あの車両の前回のエーミング作業はどうしたか」を確認したいとき、ファイルを1冊ずつ探すことになりがちです。車両ごと・顧客ごとに履歴をたどれる形で保存しておくと、次回入庫時の見積や、お客様からの問い合わせ対応が速くなります。

保存期間や記載事項の詳細な取り扱いは、管轄の運輸支局や各都道府県の自動車整備振興会の指導内容に従ってください。本ページは実務の整理を目的とした概要です。

特定整備記録簿の書き方と記入例

「何をしたか」が第三者に伝わる粒度で書くのが基本です。

1. 車両情報は車台番号まで記載する

ナンバーだけでは車両を特定しきれません。車台番号まで記載しておくと、同一車種・同一年式でも装備の違いを追えます。エーミング作業の対象車両かどうかは車台番号で判定できるため、記録簿の車台番号は次回入庫時の判断材料としても役立ちます。

2. 点検の結果は「良否」+根拠を書く

チェックだけを並べると、なぜ交換・調整したのかが後から分かりません。摩耗量や作動状態、故障コードの内容など、判断の根拠を短く添えます。

3. 整備の概要は装置名・作業名・方式まで書く

電子制御装置整備を行ったときは、対象装置と作業内容、方式を明記します。記入例は次のようなイメージです。

記入例(フロントガラス交換にともなうエーミング作業)
・フロントガラス交換(カメラ付)
・前方監視カメラの取り外し・取り付け
・前方監視カメラのエーミング作業(静的/ターゲット使用、整備要領書に基づき実施)
・作業前後にスキャンツールで故障コードを確認、異常なし
・作動確認を実施し、使用者へ内容を説明

4. 完了年月日と作成者を必ず入れる

完了年月日は保存期間の起算日になります。作成者は「誰が記録したか」を示すもので、作業者と記録者が異なる場合は両方が分かるようにしておくと確実です。

5. 使用者へ説明した内容も残す

エーミング作業は目視で成否が判断できない作業です。「なぜ必要だったのか」「どう確認したのか」を説明した記録が残っていれば、後日のトラブルを避けられます。

ガラス交換・バンパー脱着・外注時の書き方

迷いやすい3つのケースを整理します。

フロントガラス交換をしたとき

カメラが取り付けられたフロントガラスを交換した場合、ガラス交換の事実だけでなく、カメラの脱着とエーミング作業の実施内容まで記載します。カメラの装着がない車両であればエーミングは不要ですが、その場合も「対象装置なし」と分かるように残しておくと、なぜ実施していないのかが説明できます。

バンパー・グリルを脱着したとき

バンパー内にミリ波レーダーや超音波センサーがある場合は、脱着によって向きが変わり得るため電子制御装置整備に該当します。「バンパー脱着」だけで終わらせず、対象センサーと校正作業の内容を書きます。

電子制御装置整備を外注したとき

自社で認証を受けておらず、エーミング作業を認証工場へ依頼した場合は、どの工程を、どの事業場に依頼したのかを記録に残します。外注先から受け取った作業内容の書面や結果は、自社の記録とあわせて保管しておくと、お客様への説明も一貫します。作業区分の判断が曖昧なまま外注すると、無認証で作業してしまうリスクが残るため、見積の段階で対象車両かどうかを判定しておくことが重要です。

特定整備記録簿の様式はどこで入手できるか

様式の入手先は主に3通りです。

各都道府県の自動車整備振興会・運輸支局記載事項に沿った様式や記入の指導を受けられます。ダウンロード形式で配布されている場合もあります。
市販の帳票整備業向けの帳票として販売されています。手書き運用を続ける場合の選択肢です。
整備システムからの出力見積・請求データから記録簿を出力する方法です。車両情報や作業内容の転記が不要になり、記載漏れも減ります。

どの方法でも、記載すべき事項を満たしていることが前提です。様式が手元にあることよりも、「電子制御装置整備の内容まで書ける欄があるか」を確認してください。従来の分解整備記録簿の様式をそのまま使い続けていると、エーミング作業の記載欄がなく、余白に手書きで追記する運用になりがちです。

記録簿を電子保存(電磁的記録)で管理する

所定の要件を満たせば、電磁的記録による作成・保存ができます。

特定整備記録簿は、要件を満たせば電磁的記録として作成・保存することが認められています。紙の記録簿を電子化すると、保管スペースが不要になるだけでなく、車台番号や顧客名から過去の作業履歴を即座に呼び出せるようになります。エーミング作業のように「前回どの方式で実施したか」が次回の作業判断に影響する記録では、この検索性が実務上の効果につながります。

運用面では、次の3点を押さえておくと移行がスムーズです。

  • 記載事項を満たす様式で出力できるか:電子制御装置整備の内容を書ける項目があるかを確認します。
  • 保存期間中に確実に取り出せるか:2年間、検索・表示・出力ができる状態を保てるかが要点です。バックアップの取り方もあわせて決めます。
  • 入力の手間が増えないか:見積・請求と別に記録簿を入力する運用では、かえって工数が増えます。1回の入力で両方に反映される仕組みが望ましいです。

日本カーネットの自動車整備システム「DREAM POWER」は、見積・受注・請求から点検整備記録簿の作成・電子保存までを1つの自動車整備ソフトで扱えます。スマホから車歴を入力できる仕組みや記録簿電子保存システムもあり、これらはIT導入補助金の対象製品です。整備と車両販売の両方を行う事業場では、車両販売システムとしての機能を使うことで、顧客・車両情報を車販ソフトと二重に持たずに運用できます。

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記録簿の運用で起きやすい不備

指摘を受けやすいポイントを先に潰しておきます。

  • 電子制御装置整備の内容が書かれていない:「バンパー脱着」「ガラス交換」で止まっており、校正作業の記載がない。
  • 完了年月日が空欄:保存期間の起算日が分からなくなります。
  • 作成者が分からない:押印だけで氏名が読めない、記録者が特定できない。
  • 古い様式のまま:分解整備記録簿の様式を流用し、記載欄が足りていない。
  • 保存期間内の記録簿が見つからない:ファイル単位で年度管理しており、完了日基準で追えない。
  • 外注した工程の記録がない:どこに依頼したのか、結果をどう確認したのかが残っていない。

いずれも「書く欄がない」「後で書こうとして忘れる」ことが原因になりがちです。作業の流れの中で記録が埋まる運用にしておくと、不備は自然に減ります。

特定整備記録簿に関するよくある質問

特定整備記録簿と点検整備記録簿は違うものですか。

特定整備記録簿は、認証事業場が特定整備を行ったときに作成・保存する記録です。使用者側で保管する点検整備記録簿(いわゆる整備手帳)とは目的が異なります。ただし記載する内容は重なる部分が多く、システムで一体的に扱うと転記の手間を減らせます。

特定整備記録簿の保存期間は何年ですか。

記載の日から2年間です。実務では点検・整備の完了年月日を基準に管理すると分かりやすくなります。完了日が入庫ごとに異なるため、年度単位でまとめて廃棄する運用は避けてください。

分解整備記録簿の様式をそのまま使ってよいですか。

記載事項を満たしていれば様式自体は問いませんが、電子制御装置整備の内容を書く欄がないことが多く、記載漏れの原因になります。エーミング作業の対象装置・方式・確認結果を書ける様式に見直すことをおすすめします。

エーミング作業を行ったとき、記録簿には何を書けばよいですか。

対象装置(前方監視カメラ、ミリ波レーダーなど)、実施した校正作業と方式(静的/動的)、整備要領書に基づいて実施した旨、作業前後の故障コード確認結果、作動確認と使用者への説明までを記載します。

エーミングを外注した場合も自社で記録簿を作成しますか。

自社が実施した作業については自社で記録します。外注した工程は、依頼先の事業場名と依頼内容、受け取った結果を残してください。外注先の書面もあわせて保管しておくと説明が一貫します。

記録簿は電子データで保存してもよいですか。

所定の要件を満たせば電磁的記録として作成・保存できます。保存期間中に検索・表示・出力ができる状態を保つこと、バックアップを取っておくことが実務上の要点です。

記録簿の様式はどこで入手できますか。

各都道府県の自動車整備振興会や管轄の運輸支局、整備業向けの市販帳票、または整備システムからの出力という3通りが一般的です。配布形式は地域によって異なるためご確認ください。

手書きの記録簿をやめて電子化したいのですが、何から始めればよいですか。

まず現在の記録簿で「毎回転記している情報」を洗い出してください。車両情報と作業内容の転記が大半であれば、見積・請求と記録簿を同じデータで扱える自動車整備システムへの移行効果が大きくなります。DREAM POWERは記録簿の作成と電子保存、スマホからの車歴入力に対応しており、記録簿電子保存システムはIT導入補助金の対象です。

整備システムを比較検討する材料はありますか。

国内の主要ベンダー40社をまとめた整備システム 比較表を無料でダウンロードいただけます。導入費用を抑えたい場合は整備システム リースなしの形態やIT導入補助金の活用もご相談ください。

関連ページ・お問い合わせ

制度・作業内容・経過措置もあわせてご確認ください。

特定整備制度とは対象車両・認証区分・作業場の基準
エーミングとは必要な車種・作業と料金の考え方
経過措置期間2024年3月31日で終了・認証取得の手順

※本ページは実務の整理を目的とした概要です。記載事項・保存期間・様式の最終的な取り扱いは、管轄の運輸支局または各都道府県の自動車整備振興会にご確認ください。