自動運転のレベルとは|レベル0〜5の違いと自動運行装置の整備(特定整備)
自動運転のレベルとは
運転操作のどこまでをシステムが受け持つかで、0から5の6段階に分けた区分です。
このページは、特定整備の認証を持つ工場の方に向けて、レベルごとの違い、日本で認められている制度、自動運転の装置を整備するときの認証の考え方を整理したものです。レベル1〜2に当たる運転支援装置の種類は「ADAS(先進運転支援システム)とは」で、センサーの仕組みは「ADASのセンサーの種類と仕組み」で解説しています。
自動運転レベル0〜5の定義
境目はレベル2と3の間にあり、運転操作の主体が運転者からシステムに移ります。
| レベル | 概要 | 操縦の主体 | 車両の呼称 |
|---|---|---|---|
| レベル0 | 運転者が全ての動的運転タスクを実行 | 運転者 | - |
| レベル1 | システムが縦方向(加減速)または横方向(操舵)のいずれかの車両運動制御を限定領域で実行 | 運転者 | 運転支援車 |
| レベル2 | システムが縦方向と横方向の両方の車両運動制御を限定領域で実行 | 運転者 | |
| レベル3 | システムが全ての動的運転タスクを限定領域で実行。作動の継続が難しいときは、システムの介入要求などに運転者が適切に応答する | システム(作動継続が難しい場合は運転者) | 条件付自動運転車(限定領域) |
| レベル4 | システムが全ての動的運転タスクと、作動の継続が難しい場合への応答を限定領域で実行 | システム | 自動運転車(限定領域) |
| レベル5 | システムが全ての動的運転タスクと、作動の継続が難しい場合への応答を限定なく実行 | システム | 完全自動運転車 |
表は、国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」(第1版、2024年6月)に載る運転自動化レベルの定義を整理したものです。元資料は官民ITS構想・ロードマップで、SAE International J3016(2016年)とASV推進検討会の資料をもとに作られています。「操縦」は、認知、予測、判断及び操作の行為を行うことを指します。
レベル1の例は、自動で止まる衝突被害軽減ブレーキ、前の車に付いて走るACC、車線からはみ出さないためのレーンキープアシストです。国土交通省の資料は、ACCとレーンキープアシストを組み合わせて、車線を保ちながら前の車に付いて走る状態をレベル2の例に挙げています。
レベル2とレベル3の違い(運転支援車と自動運転車)
ハンドルから手を離せるかどうかでは決まりません。
高速道路の渋滞時にハンドルから手を離して走れるレベル2の車もあり、お客さまが「自動運転の車」と思い込んでいることがあります。ASV推進検討会がメーカーの広告の呼び方を揃えたのは、ユーザーが機能とその限界を正しく理解し、適切な運転操作を行うよう促すためです。整備工場でも、修理や点検の説明で「運転支援」と「自動運転」を言い分けると、誤解を広げずに済みます。
日本の自動運転レベル3・レベル4の制度と実例
レベル3は2020年4月、レベル4は2023年4月に、公道を走るための法律が施行されました。
- 2020年4月:改正道路運送車両法(自動運行装置、特定整備)と、レベル3に対応した改正道路交通法が施行されました。
- 2020年11月11日:国土交通省が本田技研工業のレジェンドに型式指定を行いました。積まれた自動運行装置 Traffic Jam Pilot は、高速道路の渋滞時に運転操作の負荷を軽くするためのものです。
- 2021年3月:福井県永平寺町で走る遠隔監視・操作型の車(産業技術総合研究所が申請)が、レベル3として認可されました。電磁誘導線の上を時速12km以下で走ります。
- 2023年1月:保安基準が改正され、運転者が不在の場合に自動運行装置が車を安全に停止させることなどが定められました。
- 2023年3月30日:中部運輸局が、永平寺町の車を運転者を必要としないレベル4として全国で初めて認可しました。
- 2023年4月:改正道路交通法が施行され、特定自動運行の許可制度が始まりました。
- 2023年5月21日:永平寺町で、運転者を配置しないレベル4の移動サービスが始まりました。福井県公安委員会の許可は5月11日に出ています。
レベル4の許可制度について、警察庁の資料は、許可を出す前に公安委員会が市町村長などの意見を聴くこと、許可を受けた者は遠隔監視のための体制を整えることなどを定めたと説明しています。国土交通省によると、レベル3では装置が自動運行を続けられないときに運転者へ引き継ぎの警報を出すのに対し、レベル4ではその状況で車を安全に停止させることが求められます。
自動運行装置とは
レベル3以上の自動運転を行う装置で、道路運送車両法に定義があります。
作動状態を記録する装置(データ記録装置)について、国土交通省の手引きは、事故などの事象が起きた時点から30秒以内、オーバーライドが行われた時点より前の5秒以内に起きた場合の記録が求められると説明しています。法律の定義でも、この記録装置を備えることが自動運行装置の条件になっています。
2023年1月の保安基準の改正では、高速道路で車線内を保つ自動運行装置について、作動できる上限速度の引き上げと、車線変更の機能を伴うものの要件が国連の協定規則第157号の改正にあわせて加わりました。適用は新型車が2023年9月、継続生産車が2027年9月です。
自動運行装置の整備と特定整備(電子制御装置整備)
自動運行装置の整備は電子制御装置整備に当たり、経過措置もありませんでした。
自分の工場の認証に自動運行装置が含まれているかは、認証の書面と標識(看板)の限定表示で確かめられます。看板の限定表示の例は「特定整備の看板(標識)」、認証の要件は「特定整備の認証の取り方」、整備主任者の講習は「エーミングの資格と講習」で確認してください。
OBD検査でも、自動運行装置(保安基準第48条)は対象装置の一つです。国土交通省の「OBD検査対象装置一覧」では、2021年10月以降の新型車について、2024年10月から検査が行われています。検査の流れは「OBD検査の実務」にまとめています。
自動運転の普及が整備工場に与える影響
当面の仕事の中心は、レベル1〜2の車のセンサー調整と故障診断です。
レベル3の型式指定やレベル4の認可は始まったばかりで、一般の整備工場に入庫する車の大半はレベル1〜2の運転支援車です。それでも、前方のカメラやレーダーの調整は電子制御装置整備の対象で、フロントガラスやバンパーの交換のたびに出てくる作業です。センサーの数が多い車ほど、調整の手順と必要なターゲットも増えます。
- 整備要領書の入手:メーカーには整備に必要な技術情報の提供が義務付けられており(道路運送車両法第57条の2)、FAINESなどから取り寄せられます
- スキャンツール:電子制御装置整備の認証では、整備用スキャンツールと水準器が必要な機器です
- 人:整備主任者は資格取得講習の修了に加え、毎年度の整備主任者研修を受けます
- 記録:特定整備をしたら特定整備記録簿に記載し、写しを交付して2年間保存します
整備要領書の探し方は「FAINESの使い方」に、出張先で電子制御装置整備を行う制度は「訪問特定整備」にまとめています。EVやハイブリッド車でセンサーの作業をするときは、高電圧の扱いも重なるので「EV・ハイブリッド車の高電圧システム」もあわせてご覧ください。
自動運転のレベルに関するよくある質問
自動運転レベル2の車は自動運転車ですか。
自動運転車には当たりません。ASV推進検討会の整理では、レベル1とレベル2は運転操作の主体が運転者の「運転支援車」で、システムが運転操作の全部を代わるレベル3以上を自動運転車と呼びます。
日本で自動運転レベル3の車は走っていますか。
はい。国土交通省は2020年11月11日、本田技研工業のレジェンドに、自動運行装置(Traffic Jam Pilot)を備えた車として世界初の型式指定を行いました。作動は国土交通大臣が付けた走行環境条件の範囲内に限られます。
自動運転レベル4はどこで実用化されていますか。
国内初の例は福井県永平寺町です。2023年3月30日に中部運輸局がレベル4の車として認可し、同年5月21日に運転者を配置しない移動サービスが始まりました。道路交通法の特定自動運行の許可は、都道府県公安委員会が出します。
自動運行装置の整備にはどんな認証が要りますか。
特定整備のうち電子制御装置整備の認証が要ります。認証が「自動運行装置を除く」と限定されている工場は、自動運行装置の整備を行えません。経過措置はなかったため、制度が始まった2020年4月から認証が必要です。
自動運転の装置を整備した記録は、どう管理すればよいですか。
特定整備記録簿の作成と、車ごとの整備履歴を同じデータで扱える自動車整備システム(自動車整備ソフト)を使うと、どの車にどの作業をしたかを後から追えます。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER は車両販売システムの機能も備えるので、車販ソフトと顧客情報を二重に管理せずに済みます。整備システム 比較のための40社一覧は無料でお送りしています。整備ソフト おすすめの探し方、整備ソフト 安い導入、整備システム リースなしでの契約もご相談ください。
出典・関連ページ
このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月17日確認)。
- 国土交通省「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」第1版(2024年6月):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001751816.pdf
- ASV推進検討会「自動運転車両の呼称」「新聞、雑誌等でよく使われている自動運転関連用語の概説」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/report06/file/siryohen_4_jidountenyogo.pdf
- 国土交通省「自動運転のレベル分けについて」:https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf
- 国土交通省 報道発表「世界初!自動運転車(レベル3)の型式指定を行いました」(2020年11月11日):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_003888.html
- 国土交通省「永平寺ラストマイル自動運転車(レベル3)の認可」:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001391990.pdf
- 国土交通省 報道発表「国内初!運転者を必要としない自動運転車(レベル4)の認可について」(令和5年3月31日):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000442.html
- 国土交通省 報道発表「国内初!運転者を配置しないレベル4での自動運転移動サービスの開始について」(令和5年5月12日):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000448.html
- 国土交通省 報道発表「大型車の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の基準を強化します」(自動運行装置に関する基準改正を含む):https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000277.html
- 警察庁「自動運転」:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/selfdriving/index.html
- 警察庁「道路交通法の一部を改正する法律(概要)」(令和4年):https://www.npa.go.jp/laws/kaisei/houritsu/20220427/01_gaiyou.pdf
- 道路運送車両法 第41条・第57条の2・第91条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 道路運送車両の保安基準 第48条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800067
- 国土交通省「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキスト:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001331469.pdf
- 国土交通省「OBD検査対象装置一覧」(令和7年6月17日時点):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001898918.pdf
※本ページは国土交通省と警察庁の資料を整理したものです。自動運転の制度は改正が続いているため、最新の状況は各省庁の公表資料でご確認ください。
EV / ADAS
EV・ADAS整備ガイド
エーミング、高電圧整備、ADASの整備を、制度と作業の両面からまとめています。







