特定整備の認証の取り方|電子制御装置整備の要件・必要書類・申請の流れ
特定整備の認証とは
特定整備を事業として行うために、事業場ごとに受ける地方運輸局長の認証です。
このページでは、国土交通省と近畿運輸局が公表している資料をもとに、電子制御装置整備の認証を中心に「何をそろえ、どこに、どう申請するか」を順に整理します。地域によって書類の様式や事前相談の進め方が違うため、最終的には管轄の運輸支局で確認してください。どの作業が特定整備に当たるかは「特定整備に該当する作業一覧」で解説しています。
自動車特定整備事業の種類と対象車種
事業の種類は3つ。扱う車の大きさで選びます。
| 事業の種類 | 対象とする自動車 |
|---|---|
| 普通自動車特定整備事業 | 普通自動車、四輪の小型自動車、大型特殊自動車 |
| 小型自動車特定整備事業 | 小型自動車、検査対象軽自動車 |
| 軽自動車特定整備事業 | 検査対象軽自動車 |
種類は道路運送車両法第77条で決められています。さらに認証は、対象とする自動車の種類を指定したり、業務の範囲を限定したりして受けられます(法第78条第2項)。たとえば「普通自動車(乗用)のうち電子制御装置整備(自動運行装置を除く)に限る」といった形です。限定した範囲を超えて作業すると、無認証と同じく50万円以下の罰金の対象になります(法第109条第12号)。
普通自動車は作業場の基準がさらに大型・中型・小型・乗用に分かれており、扱う車が大きいほど広い作業場が必要です。乗用車中心の工場なら「普通(乗用)」で申請し、トラックを扱うようになったら認証の追加・変更を申請する、という段階的な取り方もできます(近畿運輸局資料)。
電子制御装置整備の認証要件(設備)
作業場の広さ、水準器とスキャンツール、整備情報を入手できる体制が要ります。
電子制御装置整備の認証では、エーミングを行うための「電子制御装置点検整備作業場」と車両置場が必要です。作業場は屋内作業場(車両整備作業場・点検作業場)と兼用でき、天井の高さはエーミングに十分であること、床面は平滑に舗装されていることが求められます(施行規則第57条)。寸法は次のとおりです。
| 対象とする自動車 | 作業場(奥行×間口) | うち屋内 |
|---|---|---|
| 普通(大型) | 16m×5m | 7m×5m |
| 普通(中型) | 13m×3m | 7m×3m |
| 普通(小型) | 7m×2.5m | 3m×2.5m |
| 普通(乗用) | 6m×2.5m | 3m×2.5m |
| 小型四輪・小型三輪 | 6m×2.5m | 3m×2.5m |
| 軽 | 5.5m×2m | 4m×2m |
出典は国土交通省「特定整備制度概要」です。屋内の奥行は、エーミングに必要な寸法に車の前で作業する2m分を足した数値、間口は車の全幅と作業スペース0.5m分を考えた数値とされています。普通(乗用)の車両置場は間口3m以上・奥行5.5m以上です。
- 作業計器:水準器(保有義務)
- 点検計器:整備用スキャンツール(保有義務)。少なくとも1車種でOBD検査の対象装置を点検・整備できる性能があればよく、全車種に対応している必要はありません(問答 問7)。適合する製品は日本自動車機械器具工業会のサイトに掲載されています
- エーミング用ターゲット:必要なときに入手できる体制があれば保有しなくてよく、事業場間の共同保有や借用でも構いません(問答 問6)
- 整備情報の入手体制:メーカーの整備要領書などの型式固有の情報と、エーミングに必要な機器を入手できる体制(パソコン・ネット環境など)
敷地に作業場を設けられない場合は、事業場と離れた場所に作業場を設けることや、他の事業者の作業場を共同で使うこともできます(問答 問8)。この場合は土地の使用に関する契約書や共用設備に関する書面を申請に添えます。
人の要件(工員・整備士・整備主任者)
工員2人以上、有資格者の割合、講習を修了した整備主任者が必要です。
| 工員の数 | 特定整備に従事する従業員が2人以上 |
|---|---|
| 最低限の有資格者 | 1級自動車整備士(1級二輪を除く)が1人以上、または「1級二輪・2級・自動車車体整備士・自動車電気装置整備士」の合格者で、運輸支局長等が行う講習を修了した人が1人以上 |
| 有資格者の割合 | 1級・2級・3級整備士、車体整備士、電気装置整備士の数が従業員数の4分の1以上 |
| 整備主任者 | 上の「最低限の有資格者」と同じ要件を満たす人を事業場ごとに選任(他の事業場と兼任不可) |
要件は施行規則第57条と第62条の2の2に書かれています(表は電子制御装置整備のみを行う事業場の場合)。分解整備と両方を行う事業場では、整備主任者は1級(二輪を除く)か、1級二輪・2級に講習を加えた人に限られ、分解整備と電子制御装置整備で別々の整備主任者は立てられません(問答 問12)。
講習は学科・実習・試問で構成され、開催日は最寄りの運輸支局に問い合わせます。実習は運輸支局が認定した自動車整備振興会などで行われます(問答 問11)。国土交通省のサイトによると、1級小型自動車整備士の資格を持つ人は受講が免除されます。講習のテキストは国土交通省のサイトで公開されています。
申請の流れと必要書類
運輸支局へ事前に相談し、書類をそろえて申請します。
- 管轄の運輸支局(整備部門)に相談:対象とする自動車と認証の範囲、作業場のレイアウトを確認します(問答 問10)。
- 設備と人をそろえる:作業場・車両置場、水準器とスキャンツール、整備情報の入手体制、講習修了者を準備します。
- 申請書類を作る:下の一覧を参考に、運輸支局の様式で作成します。
- 申請・確認:書類を提出し、事業場の設備などの確認を受けます。
- 認証・掲示:認証書を受け取り、事業場に認証書と標識(看板)を掲げてから作業を始めます。
近畿運輸局の説明資料が挙げている主な申請書類は次のとおりです。
- 自動車特定整備事業 認証申請書(第1号様式):工員の構成、事業場の面積、作業機械等、電子制御装置整備に必要な情報を入手できる体制、事業場の平面図など
- 道路運送車両法第80条第1項第2号に該当しないことの宣誓書
- 整備主任者の選任届(第4号様式)と、自動車整備士技能検定の合格証書や講習修了証の写し
- 申請者が個人なら住民票の写しなど、法人なら商業登記簿の謄本
- 事業場の建築確認や不動産登記簿の謄本など、所在を証する書面
- 離れた作業場を使う場合は土地の使用に関する契約書、共用する場合は共用設備に関する書面
申請の手数料や審査にかかる期間は、このページを作る際に確認できる一次資料が見つからなかったため記載していません。運輸支局にお問い合わせください。なお、各都道府県の自動車整備振興会への加入は任意ですが、加入すると申請書類の作成や提出についてサポートを受けられると近畿運輸局の資料は案内しています。
認証を受けたあとに守ること
看板の掲示、記録簿、整備主任者の届出と研修などが続きます。
- 標識(看板)の掲示:第20号様式の標識を掲げます。分解整備の全部と電子制御装置整備の両方を行う事業場は若草色、それ以外は橙黄色です(特定整備の看板)。
- 特定整備記録簿:特定整備をしたら記載し、写しを使用者に交付して、2年間保存します(法第91条、書き方)。
- 整備主任者の届出:事業開始の日、または届出事項が変わった日から15日以内に運輸支局へ届け出ます(施行規則第62条の2の2第2項)。
- 整備主任者の研修:新しく届け出た整備主任者と、前回の研修を受けた年度の末日を過ぎた整備主任者に、運輸支局長等が行う研修を受けさせます(同第1項第8号)。
- エーミングの適切な実施:メーカーの型式固有の情報に基づいて点検・整備し、エーミングが適切に行われるよう必要な措置を講じます(同第5号・第6号)。
- 料金の掲示と見積もり:点検・整備の料金を事業場に掲示し、作業前に必要な整備の内容を説明して概算見積りを書面などで渡します(同第1号・第2号)。
認証のあとは、記録を残し続ける運用が始まります。どの車両にどの方式でエーミングを行い、故障コードの確認結果はどうだったかまで残しておくと、問い合わせや監査に答えやすくなります。紙の記録簿で追い切れない場合は、見積・請求と記録簿を同じデータで扱える自動車整備システムへの切り替えも選択肢です。
自社で認証を取らない場合の選択肢
認証工場への外注や、構内外注という方法があります。
エーミングの入庫が少ない工場では、電子制御装置整備の部分だけを認証工場に外注する方法もあります。国土交通省の講習テキストは、認証工場どうしで「バンパ交換のみ」「エーミング作業のみ」といった一部を外注する場合、使用者から依頼を受けた工場に整備の責任があると整理しています。ただし、認証のない工場に電子制御装置整備の全部は外注できません。
また、認証工場の構内でガラス業者などが作業する「構内外注」は、認証工場の管理のもとで作業することを書面で取り決めていれば、作業する側が認証を受けていなくても可能です(問答 問5)。経過措置の内容と終了後の扱いは「経過措置期間」で解説しています。
特定整備の認証に関するよくある質問
特定整備の認証はどこに申請しますか。
事業場を管轄する運輸支局の整備部門に申請(相談)します。認証を行うのは地方運輸局長です(国土交通省の問答 問10)。
分解整備の認証を持っていますが、手続きは必要ですか。
分解整備の認証基準は変わっていないため、従来の作業を続けるだけなら手続きは不要です。エーミングなどの電子制御装置整備を行う場合は、電子制御装置整備の認証を新たに受けます(問答 問4)。
エーミングのターゲットは全部そろえる必要がありますか。
必要なときに入手できる体制があれば、保有しなくても構いません。事業場間での共同保有や借用でもよいとされています(問答 問6)。
スキャンツールは全車種対応のものが必要ですか。
認証要件としては、少なくとも1車種でOBD検査の対象装置を点検・整備できるスキャンツールを1台持っていれば足ります(問答 問7)。実際に受ける車種に対応しているかは別に確認してください。
特定整備の資格は誰が持っていればよいですか。
電子制御装置整備のみの事業場では、1級整備士(二輪を除く)、または1級二輪・2級・車体整備士・電気装置整備士の合格者で講習を修了した人を、少なくとも1人置き、整備主任者に選任します。工員は2人以上、有資格者は従業員の4分の1以上が必要です。
認証後の記録簿や見積の管理を楽にする方法はありますか。
見積・請求・記録簿を一体で扱える自動車整備システム(自動車整備ソフト)を使う方法があります。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER は記録簿の作成と電子保存に対応し、車両販売システムの機能もあるため車販ソフトと顧客情報を二重に持たずに済みます。国内40社の整備システム 比較表も無料でお送りしています。整備ソフト おすすめの選び方、整備ソフト 安い導入、整備システム リースなしの契約形態についてもご相談ください。
出典・関連ページ
このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月9日確認)。
- 道路運送車両法 第77条・第78条・第91条・第109条:https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 道路運送車両法施行規則 第57条・第62条の2の2:https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 国土交通省「自動車特定整備事業について」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000016.html
- 国土交通省「特定整備制度概要」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001332203.pdf
- 国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001388156.pdf
- 国土交通省「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキスト:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001331469.pdf
- 近畿運輸局「自動車特定整備事業 認証取得説明用資料(電子制御装置整備のみの認証取得編)」:https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000246231.pdf
- 国土交通省「各運輸支局等の問い合わせ先」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000012.html
※本ページは国の資料を整理したものです。申請書類の様式や運用は地域で異なる場合があります。最終的な判断は管轄の運輸支局にご確認ください。






