特定整備記録簿・点検整備記録簿・指定整備記録簿の違い|書く人・保存期間・分解整備記録簿との関係
3つの記録簿の違い(早見表)
根拠の条文、書く人、保存期間がそれぞれ違います。
| 記録簿 | 根拠 | 備える・書く人 | 書くとき | 保存期間 |
|---|---|---|---|---|
| 点検整備記録簿 | 法第49条 | 自動車の使用者(実務は依頼を受けた工場が記入) | 定期点検・整備をしたとき | 1年または2年(点検の種類による) |
| 特定整備記録簿 | 法第91条 | 自動車特定整備事業者(認証工場) | 特定整備をしたとき | 記載の日から2年 |
| 指定整備記録簿 | 法第94条の6 | 指定自動車整備事業者(指定工場) | 保安基準適合証等を交付したとき | 記載の日から2年 |
点検整備記録簿の保存期間は、自動車点検基準第4条で決められています。12か月・24か月ごとに点検する自家用乗用車などは2年、3か月・12か月ごとに点検する事業用自動車などは1年です。車の種類の名前で覚えるより、どの点検周期の記録簿かで判断すると間違えません。
分解整備記録簿と特定整備記録簿の関係
2020年4月から「分解整備記録簿」は「特定整備記録簿」になりました。
2020年4月1日の法改正で「分解整備」が「特定整備」に改められたのにあわせ、認証工場が備える「分解整備記録簿」も「特定整備記録簿」になりました。国土交通省の「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキストは、次のように整理しています。
- 法施行後の「特定整備記録簿」は、従来の「分解整備記録簿」にあたる
- 法施行前に事業場に備えていた分解整備記録簿は、施行後も特定整備記録簿として使える
- 特定整備記録簿は、特定整備の認証を受けた事業者が分解整備や電子制御装置整備をしたときに記載するもので、認証を受けていない事業者は特定整備記録簿に記載しない
つまり「分解整備記録簿の書き方」「分解整備記録簿の保存期間」を調べている場合は、いまの特定整備記録簿のルールを見れば足ります。記載する事項は、登録番号(登録自動車以外は車両番号や車台番号)、特定整備の概要、完了年月日、依頼者の氏名・住所などで、保存期間は記載の日から2年です(法第91条)。記入例は「特定整備記録簿の書き方」で紹介しています。
1台の入庫でどの記録簿を書くか
点検で特定整備をしたときは、記号を○で囲んで区別します。
12か月点検の途中でブレーキキャリパを外してパッドを交換したり、前方カメラを交換してエーミングを行ったりすると、点検の記録と特定整備の記録が重なります。講習テキストの記載例では、点検整備記録簿のチェック記号のうち特定整備に当たるものを○で囲むなどして区別し、整備の概要を書く欄がない様式では「その他」の欄などを使って概要を記入するとしています。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| レ | 点検(異状なし) |
| × | 交換 |
| △ | 修理 |
| A | 調整(エーミングなどの機能調整を含む) |
| T | 締付 |
| C | 清掃 |
| L | 給油 |
| P | 省略 |
| / | 該当なし |
講習テキストの例では、衝突被害軽減ブレーキのカメラを交換してエーミングをした場合、付属装置の欄に「× 衝突被害軽減制動制御装置のカメラの交換」「A 衝突被害軽減制動制御装置のカメラのエーミング作業」と書き、特定整備に当たる記号を○で囲みます。記号の意味は近畿運輸局の記載要領によるもので、×を「不良」、Pを「分解」とする説明は誤りです。
なお、使用者が自分で書く点検整備記録簿については、認証工場が特定整備をした場合、使用者がその特定整備の内容を書く義務は除かれています(法第49条第2項ただし書)。認証工場が特定整備記録簿に記載して写しを交付するためです。
エーミングやガラス交換を外注したときの書き分け
作業した工場ごとに記録簿を書き、使用者にはすべての写しが届くようにします。
| ケース | A社(依頼を受けた工場) | B社(外注先) |
|---|---|---|
| A社がガラス交換・レーダー交換・エーミングをすべて自社で行う | 特定整備記録簿に「○×ガラス交換」「○×レーダー交換」「○Aエーミング作業」 | ― |
| A社がガラス交換を構内外注し、レーダー交換とエーミングは自社 | 上と同じ書き方に、構内外注した旨を加える | 記載しない(A社の管理下の作業) |
| A社がレーダー交換、エーミングだけ認証工場B社に外注 | レーダー交換と、エーミングを外注した旨を記載 | エーミング作業を自社の特定整備記録簿に記載し、A社経由などで写しを使用者に交付 |
| A社が全部をB社に外注 | 特定整備記録簿には記載しない | すべての作業を記載し、写しを使用者に交付 |
表は講習テキストのケース1〜4を、A社・B社とも電子制御装置整備の認証を受けている場合でまとめたものです。指定工場が電子制御装置整備の一部を外注した場合は、外注先が作成した特定整備記録簿と作業内容を示した書面を受け取り、現車でスキャンツールによる故障診断や警告灯の確認を行ったうえで、指定整備記録簿の余白に外注先の名称、外注した内容、完了日、できばえ確認の有無を書き写します。
構内外注は、認証工場の管理のもとで作業することを書面で取り決めていれば、作業する側が認証を受けていなくても行えます(国土交通省の問答 問5)。ガラス交換とエーミングの関係は「エーミングをしないとどうなる?」でも解説しています。
記録簿を電子で作成・保存するときの要件
3つの記録簿とも、要件を満たせば電子で作成・保存できます。
国土交通省は「点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い」で、記録簿を電子で作成・保存するときの条件を示しています。検索できること、ほかの媒体へ移せること、作成・更新・消去の日時と作業者が自動で記録されること、改ざんを防ぐこと、バックアップを取ることなどです。権限は自動車検査員、整備主任者、起票・入力の担当ごとにIDとパスワードで分け、IDの共用はできません。
特定整備記録簿の写しを電子で交付する場合は、事前に交付の方法を示し、使用者から書面または電磁的方法で承諾を得ておく必要があります。また、運輸支局や軽自動車検査協会の窓口で検査を受ける際に記録簿を提示するときは、書面での提示が求められます。電子化しても、すべてを紙なしで済ませられるわけではない点に注意してください。
記録簿の違いに関するよくある質問
特定整備記録簿と点検整備記録簿は、どちらを書けばよいですか。
定期点検をしたら点検整備記録簿、認証工場が特定整備をしたら特定整備記録簿に書きます。点検の中で特定整備をした場合は両方に関係し、点検整備記録簿では特定整備に当たる記号を○で囲むなどして区別します。
分解整備記録簿はもう使えませんか。
法改正前に事業場に備えていた分解整備記録簿は、特定整備記録簿として使えると国土交通省の講習テキストは整理しています。記載事項と保存期間は特定整備記録簿のルール(法第91条、2年保存)に従います。
特定整備記録簿の保存期間は何年ですか。
記載の日から2年間です(道路運送車両法第91条第3項)。指定整備記録簿も記載の日から2年間です(法第94条の6第2項)。
点検整備記録簿の保存期間は何年ですか。
自動車点検基準第4条で、点検の種類ごとに決められています。12か月・24か月ごとの点検を行う自家用乗用車などは2年、3か月・12か月ごとの点検を行う事業用自動車などは1年です。
認証のない工場が作業したときは、どの記録簿に書きますか。
特定整備記録簿は認証を受けた事業者が書くものなので、認証のない事業者は記載しません。講習テキストは、経過措置の対象だった未認証の事業者について、使用者に代わって点検整備記録簿に記載する例を示していました。経過措置は2024年3月31日に終わっており、現在は特定整備に当たる作業そのものに認証が必要です。
記録簿の作成と保存をシステムでまとめられますか。
見積・請求と記録簿を同じデータで扱える自動車整備システム(自動車整備ソフト)を使えば、記録簿の作成と電子保存をまとめられます。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER は記録簿の作成と電子保存に対応し、車両販売システムの機能もあるため車販ソフトと顧客情報を二重に持たずに済みます。国内40社の整備システム 比較表を無料でお送りしており、整備ソフト おすすめ選び、整備ソフト 安い導入、整備システム リースなしの契約形態もご相談いただけます。
出典・関連ページ
このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月9日確認)。
- 道路運送車両法 第49条・第91条・第94条の6:https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車点検基準 第4条:https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070
- 国土交通省「電子制御装置整備の整備主任者等資格取得講習」テキスト(特定整備記録簿等の記載方法):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001331469.pdf
- 国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001388156.pdf
- 国土交通省「点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/kirokubodensika.pdf
- 近畿運輸局「指定整備関係帳票類の記載要領」(作業区分の記号。2026年8月に確認)
※本ページは条文と国の資料を整理したものです。様式や運用の細部は、管轄の運輸支局や自動車整備振興会にご確認ください。






