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特定整備に該当する作業一覧|分解整備と電子制御装置整備の対象・対象外

特定整備とは(定義と2つの区分)

特定整備は「分解整備」と「電子制御装置整備」を合わせた呼び名です。

特定整備とは、道路運送車両法第49条第2項と同法施行規則第3条が定める整備・改造のことで、規則第3条の第1号から第7号に当たるものを「分解整備」、第8号と第9号に当たるものを「電子制御装置整備」と呼びます。2020年4月1日の法改正で、それまでの「分解整備」に、自動ブレーキや車線維持支援に使うカメラ・レーダーの調整(エーミング)と、自動運行装置の整備が加わり、名前が「特定整備」に改められました。特定整備を事業として行うには、事業の種類と事業場ごとに地方運輸局長の認証が必要で(法第78条)、認証を受けずに経営すると50万円以下の罰金の対象になります(法第109条第11号)。

このページでは、規則第3条の条文に沿って「どの作業が特定整備に当たるのか」を一覧にし、あわせて当たらない作業の例と、対象車両の見分け方をまとめます。条文は国の法令検索サイト(e-Gov法令検索)で誰でも確認できます。現場で迷いやすいのは、部品の名前だけでなく「取り外すかどうか」「センサーに影響するかどうか」で該当・非該当が分かれる点です。

区分規則第3条主な中身
分解整備第1号〜第7号原動機・動力伝達装置・走行装置・かじ取り装置・制動装置・緩衝装置・連結装置の決められた部品を取り外して行う整備・改造
電子制御装置整備第8号・第9号前方を検知するセンサー(カメラ・レーダー等)とその電子計算機、センサー付きの車体前部・窓ガラスの取り外し・取付位置や角度の変更・機能調整、自動運行装置の整備・改造

分解整備に該当する作業一覧(第1号〜第7号)

7つの装置ごとに、取り外すと分解整備になる部品が決められています。

分解整備は、次の部品を「取り外して行う」整備・改造です。部品を交換するだけでなく、作業の途中で一度外して付け直す場合も含まれます。かっこ内は条文で除外されている部品です。

号装置取り外すと分解整備になる部品条文上の除外
第1号原動機原動機(エンジン)―
第2号動力伝達装置クラッチ、トランスミッション、プロペラ・シャフト、デファレンシャル、ドライブ・シャフト二輪の小型自動車のクラッチ
第3号走行装置フロント・アクスル、前輪独立懸架装置、リア・アクスル・シャフトストラット、二輪の小型自動車
第4号かじ取り装置ギヤ・ボックス、リンク装置の連結部、かじ取りホーク―
第5号制動装置マスタ・シリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキ・チャンバ、ブレーキ・ドラム、ディスク・ブレーキのキャリパ、二輪の小型自動車のブレーキ・シュー(ライニング交換のため)二輪の小型自動車のブレーキ・ドラム
第6号緩衝装置シャシばねコイルばね、トーションバー・スプリング
第7号連結装置けん引自動車・被けん引自動車の連結装置トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラ

近畿運輸局の認証取得説明資料は、条文をもう少し具体的に説明しています。たとえば原動機は「シリンダブロック(シリンダブロックの取り外しを伴うフライホイールを含む)を取り外して行う整備」、制動装置のキャリパは「ブレーキキャリパの取り外しを伴うブレーキパッドを含む」とされています。つまり、キャリパを外してパッドを交換する作業は分解整備に当たります。また同資料は、作業の途中で自動車を保安基準に適合しない状態にする行為も「取り外し」などに含まれると説明しています。

分解整備の範囲は2020年の制度改正の前後で変わっていません。これまで「自動車分解整備事業」の認証を受けていた工場は、同じ作業を続ける限り新たな手続きは不要です(国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」問4)。

電子制御装置整備に該当する作業一覧(第8号・第9号)

運転支援のカメラ・レーダーと、自動運行装置にかかわる作業です。

第8号は、次の3つ(条文では「運行補助装置」)について、取り外し、取付位置・取付角度の変更、機能の調整を行う整備・改造のうち、かじ取り装置(自動命令型操舵機能=いわゆるレーンキープ)または制動装置(衝突被害軽減制動制御装置=いわゆる自動ブレーキ)の作動に影響するおそれがあるものです。第9号は自動運行装置の取り外しや、その作動に影響するおそれがある整備・改造です。

  • 第8号イ 前方などを検知するセンサー:単眼・複眼カメラ、ミリ波レーダー、赤外線レーザーの取り外し、光軸調整、エーミング
  • 第8号ロ センサーの情報を処理する電子計算機(ECU):取り外しや、交換したカメラを車両に認識させるコーディング
  • 第8号ハ センサーが付いた車体前部・窓ガラス:レーダー付きのバンパー・グリル、カメラ付きのフロントガラスの脱着
  • 第9号 自動運行装置:自動運転レベル3以上の装置の取り外しや作動に影響する整備・改造

国土交通省の問答(問1)は、電子制御装置整備を「①自動運行装置の取り外しや作動に影響するおそれのある整備・改造」「②衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープ機能に用いられる前方をセンシングするカメラ等の取り外し、取付位置・取付角度の変更、機能調整」「③それらのカメラ、レーダー等が付いた車体前部(バンパ、グリル)、窓ガラスの脱着」と整理しています。③の脱着が対象になっているのは、脱着のあとにカメラ等の機能調整が必要になるためです。

ここでいう衝突被害軽減ブレーキやレーンキープは、保安基準の適用を受けている装置に限られます。同じような機能を持っていても、基準の適用前の車両は対象外です。どの車両が対象かは、国土交通省がメーカー別のリストを公表しているほか、日本カーネットのエーミング対象車両検索で車台番号から調べられます。作業の中身は「エーミングとは」で詳しく解説しています。

ガラス交換・バンパー脱着の見積もり前に、電子制御装置整備の対象車両かどうかを確認しましょう。

エーミング対象車両を検索する検索の使い方

特定整備に当たらない作業の例

国の資料で「該当しない」と明示されている作業を並べます。

作業・車両扱い根拠
カメラやレーダーが付いていないガラス・バンパーの脱着電子制御装置整備に当たらない問答 問2
自動ブレーキ等が保安基準の適用を受けていない車両の作業電子制御装置整備の対象外問答 問3
動的エーミングのみ・自動エーミングのみで済む作業特定整備の対象外(カメラの交換などを伴えば対象)講習テキスト
ストラット、コイルばね、トーションバー・スプリングの取り外し分解整備の部品から除外規則第3条第3号・第6号
トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラの取り外し分解整備の部品から除外規則第3条第7号
個人が趣味で自分の車を整備する場合事業ではないため認証は不要近畿運輸局資料

注意したいのは、特定整備に当たらないことと、作業後の確認が要らないことは別の話です。たとえばセンサーの付いていないフロントガラスの交換は電子制御装置整備に当たりませんが、同じ車名でもグレードによってカメラの有無が違います。見積もりの段階で車台番号から装備を確かめておくと、入庫後に作業区分が変わる手戻りを防げます。

反対に、有償か無償かは関係ありません。近畿運輸局の資料は、特定整備を継続的・反復的に行えば事業に当たり、運送会社の自家工場で行う整備も含まれると説明しています。ガソリンスタンドやカー用品店、ガラス店が行う作業でも、条文に当たれば認証が必要です。

分解整備と電子制御装置整備の違い・認証の組み合わせ

認証は「分解整備のみ」「電子制御装置整備のみ」「両方」の3パターンです。

分解整備エンジンや足回り、ブレーキなどを取り外して行う、従来からの整備です。認証基準は改正前と同じで、屋内作業場と作業機械・点検計器、1級または2級整備士を含む工員2人以上などが求められます。
電子制御装置整備運転支援のカメラ・レーダーと自動運行装置にかかわる整備です。エーミングに必要な広さの電子制御装置点検整備作業場、水準器と整備用スキャンツール、メーカーの整備情報を入手できる体制、講習を修了した整備主任者などが求められます。

国土交通省の「特定整備制度概要」は、認証のパターンを(Ⅰ)分解整備のみ、(Ⅱ)電子制御装置整備のみ、(Ⅲ)両方の3つに分けています。いずれの場合も事業者の名称は「自動車特定整備事業者」です。両方の認証を受けるときは、分解整備と電子制御装置整備の整備主任者を別々の人にできません(問答 問12)。事業場に掲げる看板の色も認証の範囲で変わり、分解整備の全部と電子制御装置整備の両方を行う事業場は若草色、それ以外は橙黄色です(詳しくは「特定整備の看板」)。

これから認証を取る場合の要件と申請の流れは「特定整備の認証の取り方」にまとめています。

特定整備をしたら記録簿に残す

特定整備記録簿への記載、写しの交付、2年間の保存が義務です。

自動車特定整備事業者は、特定整備をしたときに特定整備記録簿へ、登録番号(または車台番号)、特定整備の概要、完了年月日、依頼者の氏名・住所などを記載し、写しを使用者に交付します。記録簿は記載の日から2年間保存しなければなりません(法第91条)。旧「分解整備記録簿」との関係や、点検整備記録簿・指定整備記録簿との違いは「記録簿3種類の違い」、記入例は「特定整備記録簿の書き方」で解説しています。

作業区分が増えると、どの車両に何をしたかを紙で追うのが難しくなります。見積・請求と記録簿を同じデータで扱える自動車整備システムを使えば、特定整備に当たる作業の記録漏れを減らせます。

特定整備に該当する作業に関するよくある質問

ブレーキパッドの交換は特定整備に当たりますか。

ディスク・ブレーキのキャリパを取り外して行う場合は分解整備に当たります。近畿運輸局の資料も、キャリパの取り外しを伴うブレーキパッドの交換を含むと説明しています。

フロントガラスの交換は特定整備ですか。

前方カメラなどのセンサーが付いたガラスの脱着は電子制御装置整備(特定整備)に当たります。センサーが付いていないガラスの脱着は当たりません(国土交通省の問答 問2)。

ショックアブソーバーやコイルばねの交換は分解整備ですか。

規則第3条第6号は、緩衝装置のシャシばねを取り外す整備を分解整備としつつ、コイルばねとトーションバー・スプリングを除外しています。走行装置の前輪独立懸架装置からもストラットが除外されています。個別の作業で判断に迷う場合は、管轄の運輸支局に確認してください。

特定整備の対象車両はどう見分けますか。

電子制御装置整備は、自動ブレーキやレーンキープが保安基準の適用を受けている車両が対象です。国土交通省がメーカー別のリストを公表しているほか、車台番号から調べられる検索ツールもあります。

分解整備の認証だけでエーミングはできますか。

できません。エーミングなどの電子制御装置整備を事業として行うには、電子制御装置整備の認証を追加で受ける必要があります(問答 問4)。

特定整備の記録や見積をまとめて管理する方法はありますか。

見積・請求と記録簿を一体で扱える自動車整備システム(自動車整備ソフト)を使う方法があります。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER は記録簿の作成と電子保存に対応し、車両販売システムとしての機能もあるため車販ソフトと顧客情報を二重に持たずに済みます。整備システム 比較の材料として国内40社の比較表も無料でお送りしており、整備ソフト おすすめ選びや、整備ソフト 安い導入、整備システム リースなしの契約形態のご相談も承っています。

出典・関連ページ

このページは次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月9日確認)。

特定整備制度とは対象車両・認証区分・作業場の基準
特定整備の認証の取り方要件・必要書類・申請の流れ
エーミングとは車のカメラ・レーダーの校正と必要な作業
特定整備記録簿の書き方記載事項・保存期間・記入例・電子保存
記録簿3種類の違い特定整備・点検整備・指定整備記録簿
特定整備の看板(標識)色・寸法・記載事項と旧看板の扱い
経過措置期間2024年3月31日で終了
エーミング対象車種一覧国産・輸入車33社の車名と型式

※本ページは条文と国の資料を整理したものです。個別の作業が特定整備に当たるかの最終判断は、管轄の運輸支局にご確認ください。