エーミングとは|必要な車種・作業内容・料金の考え方・必要な設備

エーミングとは?必要な車種・作業と料金の考え方|対象車両の検索方法

エーミング作業は電子制御装置が正しく作動するための校正・調整作業です。

レーダーセンサーや超音波センサーのついた外装類の脱着や、カメラが付いたフロントガラスの交換、 フレーム修正を伴う板金塗装を行ったとき、先進安全装置を正しく作動させるために行う校正作業です。

現在の車は先進安全装置が搭載されていることが多く、エーミング作業は車の修理の際には欠かせない作業となっています。

カメラやレーダーは、あらかじめ決められた向き・角度で車体に取り付けられていることを前提に作動します。バンパーを脱着したり、フロントガラスを交換したりすると、そのわずかなずれによって「対象物との距離」や「車線の位置」の認識がずれてしまいます。エーミング作業は、センサーやカメラの取り付け角度・光軸を規定値に合わせ直し、車両側に基準値を再学習させる作業です。見た目では作業の成否がわからないため、専用のターゲットと計測器を使い、メーカーの整備要領書に定められた手順どおりに進める必要があります。

3行で要点/①カメラ・レーダーの位置がずれる作業をしたら校正(エーミング)が必要 ②方式は車種ごとにメーカー指定(静的/動的) ③認証を受けた事業場でなければ実施できない(経過措置は2024年3月末で終了)。

なお、エーミング作業は「特定整備制度」における電子制御装置整備に該当します。2020年4月1日の施行時に設けられた4年間の経過措置期間は2024年3月31日で終了しているため、現在は電子制御装置整備の認証を受けた事業所でなければ、この作業を行うことはできません。

エーミング作業が必要となるケース

エーミング作業により修正や調整が必要となるケースは下記のようなものがあります。

  • バンパーやグリルの交換
  • フロントガラスの交換、脱着
  • ドアミラーの交換、脱着
  • フレーム修正を含む鈑金塗装修理
  • 自動ブレーキや車線維持支援に使われる、前方をセンシングするためのカメラの取り外しや機能調整
  • 自動運転装置の取り外しや、作動に影響を及ぼすおそれのある整備や改造

ポイントは「センサーそのものを交換したかどうか」ではなく、「センサーの位置や向きが変わりうる作業をしたかどうか」です。たとえばバンパーの脱着だけでも、内部に取り付けられたミリ波レーダーや超音波センサーの向きは変わり得ます。事故修理でフレーム修正まで及んだ場合は、車体基準そのものが動いているため、より慎重な確認が必要です。板金塗装や硝子交換を協力工場へ出している場合も、最終的に車両をお客様へ引き渡す事業所として、エーミングの実施状況を必ず把握しておきましょう。

判断に迷ったときは、車両側の装備から確認するのが確実です。メーカー名からの検索と車台番号からの検索の2通りで、エーミング作業の対象となる車両かどうかを調べられます。見積の段階で判定しておくと、入庫後に作業内容と納期を組み替える手戻りを防げます。

エーミング必須!ASV車両について

ASV車両とは何か?

ASVは「Advanced Safety Vehicle(アドバンスド・セーフティ・ビークル)」の頭文字を取ったもので、先進安全システムを搭載した先進安全自動車のことをいいます。

ASV車両の先進安全システムには、どのようなものがあるのでしょうか。先進安全システムには多くの装置があり、ASV車両を修理した際はエーミング作業が必須となります。下記が先進安全システムの一例です。

衝突被害軽減ブレーキ(AEB/自動ブレーキ)前方のカメラ・ミリ波レーダー・レーザーレーダーで障害物を検知し、衝突の被害を軽減します。
車線逸脱警報装置・車線維持支援装置カメラで白線を認識し、車線からの逸脱を警報したり、ステアリングを補正します。
定速走行・車間距離制御装置(ACC)先行車との車間距離を保ちながら追従走行します。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置超音波センサー等で障害物を検知し、急加速を抑制します。
後退時支援装置・駐車支援システムカメラとソナーで後方や周囲を監視します。
後側方接近車両注意喚起装置(ブラインドスポットモニター)斜め後方のレーダーで隣車線の車両を検知します。
標識認識機能・オートハイビームカメラで道路標識や対向車のライトを認識します。
自動運行装置一定条件下で運転操作を代替する装置で、取り外しや作動に影響する整備は電子制御装置整備に該当します。

これらの装置は、カメラ・ミリ波レーダー・超音波センサー(ソナー)・レーザーレーダーといった検知デバイスの組み合わせで成り立っています。どのデバイスが、どこに、どの向きで付いているかは車種ごとに異なります。同じ車名でも年式やグレードによって装備が違うため、「この車種なら不要」と経験だけで判断せず、車台番号まで含めて確認することが安全です。

エーミングには静的(ターゲット式)と動的(走行式)がある

方式は車種・装置ごとにメーカーが指定します。両方を求められる車種もあります。

静的エーミング(ターゲット式)屋内の作業場に専用のターゲットボードやリフレクターを設置し、車両を静止させた状態で基準値を再学習させる方式です。車両中心線を出し、ターゲットまでの距離・高さ・角度を指定値どおりに合わせるため、作業場の広さ・床面の平滑さ・計測器の精度が結果を左右します。
動的エーミング(走行式)スキャンツールを接続した状態で、一定条件(車速・走行時間・白線がはっきりした道路など)で実際に走行し、車両側に学習させる方式です。天候や交通状況に左右されるため、作業計画が立てにくいという特徴があります。

どちらの方式で行うかは車種と装置ごとにメーカーが指定しており、自己判断で置き換えることはできません。作業前に必ず整備要領書を確認してください。

作業の大まかな流れは次のとおりです。作業内容と結果は記録簿に残し、お客様へも説明できる状態にしておきます。

  • 対象車両かどうかの判定:メーカー名または車台番号から、エーミングが必要な車両かを確認します。
  • 整備要領書で方式と規定値の確認:静的/動的の指定、ターゲット位置や規定値を確認します。
  • スキャンツールで故障コードの確認:作業前の状態を記録します。
  • 車両中心線出し・ターゲット設置:静的の場合。水糸・下げ振り・レーザー距離計で正確に位置を出します。
  • 校正の実行:整備要領書の手順どおりに校正します。
  • 完了後の故障コード確認と記録:警告灯が消えていること、作動確認まで済んだことを特定整備記録簿に残します。

ではエーミング作業に必要な設備・環境とは

エーミング作業は従来の分解整備とは違った精度を追求される作業となります。

工具や作業環境もエーミング作業をする上では重要になります。
「特定整備制度」のページでも書いたように、電子制御装置整備の作業場の大きさ等も認証を得るために重要ですが、しっかりとした修理・検査を行う上での設備も重要なものとなっています。
ツールによっては認証要件として設置が義務となっている物もありますので、しっかりと確認をしておきましょう。

認証基準では、電子制御装置点検整備作業場について次のような要件が定められています(普通自動車の場合)。

電子制御装置点検整備作業場:間口2.5m
電子制御装置点検整備作業場:奥行6m(屋内3m)
電子制御装置点検整備作業場:天井高さ対象とする自動車についてエーミング作業を実施するのに充分であること
電子制御装置点検整備作業場:床面床面は平滑であること
車両置場:間口3m以上
車両置場:奥行5.5m以上

静的エーミングでは、車両の前方にターゲットを置くスペースと、光や反射の影響を受けにくい環境が必要です。床面に傾斜やうねりがあると計測値そのものが狂うため、「作業場の広さ」と「床面の平滑性」は精度に直結します。認証申請の際にも確認される項目ですので、レイアウト変更を検討する場合は早めに着手してください。作業場の基準の一覧は「特定整備制度」のページにも掲載しています。

エーミング作業に必要な設備・工具

下記工具のほかに、各自動車メーカーから発行されている整備要領書も重要になってきます。

  • ターゲット・リフレクター

    カメラエーミングのターゲットボード。リフレクターは先進運転支援システム(ADAS)用レーダーセンサーのエーミング作業に必要。

    ターゲット・リフレクター

  • スキャンツール

    エーミング作業、設定に必要。認証要件として設置が義務付けされています。

    スキャンツール

  • デジタルプロトラクター

    任意の角度に定規を設定できる。ターゲットの向きや角度が正常かの確認に使用。

    デジタルプロトラクター

  • デジタル角度計

    バンパー等に取付けられたセンサーの取付角度の計測に使用。

    デジタル角度計

  • 水準器

    作業を行う床面の水平度の確認に使用。

    水準器

  • レーザー距離計

    対象物との距離を測定するために使用。

    レーザー距離計

  • 水糸

    車両中心を出すために下げ振りを下げるために使用。

    水糸

  • 下げ振り

    車両前端と後端に水糸を使用し、車両中心を出すために使用。

    下げ振り

  • 補助器具

    デジタル角度計とレーザー距離計とを組み合わせて使用。

    補助器具

このうちスキャンツールは認証要件として設置が義務付けられており、対象車両の車載式故障診断装置に対応したものが必要です。ターゲット・リフレクターはメーカー指定の純正品または対応品を用意します。デジタルプロトラクター、デジタル角度計、水準器、レーザー距離計、水糸、下げ振り、そしてこれらを組み合わせる補助器具は、いずれも「規定値どおりに設置できているか」を数値で確認するための道具です。エーミングは目視で合否が判断できない作業なので、計測器の精度と校正状態の管理そのものが品質管理になります。

エーミングの料金・費用はどう決まるのか

一律の金額では決まりません。作業時間を左右する要因で変わります。

エーミングの料金は、車種・対象装置・方式(静的/動的)によって作業時間が大きく変わるため、「1台いくら」と一律には決まりません。費用を見積もるときは、次の要因を確認してください。

  • 対象装置の数:前方監視カメラだけの車両と、ミリ波レーダー・超音波センサー・後側方レーダーまで搭載する車両では、必要な校正作業の数が違います。
  • 方式(静的/動的):静的はターゲット設置と車両中心線出しに時間がかかり、動的は走行条件を満たす必要があるため天候や交通状況に左右されます。両方を求められる車種もあります。
  • 付帯作業の範囲:フロントガラス交換やバンパー脱着、フレーム修正など、エーミングの前工程にどこまで含むかで総額が変わります。
  • 自社実施か外注か:外注の場合は外注費に加え、入庫日数と代車の回転も原価に影響します。
  • スキャンツールと整備要領書の対応:対応機器がなければ実施できず、車種によって使える機器が限られます。

お客様への説明では、金額の内訳よりも「なぜこの作業が必要なのか」を先に伝えると納得が得られやすくなります。見積の段階で対象車両かどうかを判定し、エーミングが必要である旨と作業区分を明示しておくことが、後の金額トラブルを防ぐ最短の方法です。ディーラーや作業を依頼する工場によって料金設定は異なりますので、外注する場合は事前に作業範囲と単価の取り決めをしておきましょう。

エーミングをしないとどうなる?車検との関係

先進安全装置が正しく働かない状態のまま車両を返すことになります。

エーミングが必要な作業を行ったのに校正をしていない場合、カメラやレーダーの認識が本来の位置からずれたままになります。衝突被害軽減ブレーキが正しい距離で作動しない、車線を誤認識する、警報が出ない・過剰に出るといった不具合につながり、最悪の場合は事故に直結します。見た目では判断できないため、作業した事業場が記録で示すしかありません。

また、警告灯が点灯した状態は保安基準に適合しないと判断されるため、車検を受けられない・通らないという事態も起こり得ます。作業後にスキャンツールで故障コードを確認し、警告灯が消えていること、作動確認まで済んでいることを確認してから引き渡してください。

事業場側のリスクとしては、認証を受けずに電子制御装置整備を行った場合の法令違反があります。4年間の経過措置期間は2024年3月31日で終了しており、現在は認証が前提です。実施した内容は特定整備記録簿に残し、2年間保存する必要があります。

自社で行うか、外注するかの判断

設備投資と入庫台数のバランスで判断します。

エーミング作業を自社で行うには、認証取得、作業場の確保、スキャンツールや計測器の購入、整備主任者の講習修了といった準備が必要です。一方、電子制御装置整備に該当する部分だけを認証工場へ外注する方法もあります。判断の目安になるのは、月あたりの該当入庫台数、外注に出した場合の納期と費用、そして自社で受けたい作業範囲です。

外注を選ぶ場合も、フロントでの見積時点で「この車両はエーミングが必要」と判定できる体制は欠かせません。判定が遅れると、外注先の予約が取れず納期が延び、代車の回転にも影響します。逆に自社で行う場合は、作業時間と使用した計測器・実施方式を記録として残す運用を最初から組んでおくと、認証事業者としての記録管理が楽になります。

費用については、車種・装置・方式(静的/動的)によって作業時間が大きく変わるため、一律の金額では判断できません。見積の段階で作業区分を明確にし、お客様へ「なぜこの作業が必要なのか」を説明できるようにしておくことがトラブル防止につながります。

エーミング作業に関するよくある質問

フロントガラスを交換したら、必ずエーミング作業が必要ですか。

カメラがフロントガラスに取り付けられている車両では必要です。カメラの装着がない車両では不要ですが、同じ車名でも年式やグレードで装備が異なります。車台番号から対象車両かどうかを確認するのが確実です。

バンパーを脱着しただけでもエーミングは必要ですか。

バンパー内にミリ波レーダーや超音波センサーが取り付けられている場合は必要になります。脱着によってセンサーの向きが変わり得るためです。整備要領書で対象の有無と方式を確認してください。

静的エーミングと動的エーミングは、どちらを選んでもよいのですか。

選べません。車種と装置ごとにメーカーが方式を指定しています。車種によっては静的と動的の両方を求められる場合もあります。

エーミング作業に資格は必要ですか。

作業自体に個人の資格が必要というより、事業所として電子制御装置整備の認証を受けていることが前提になります。加えて、1級自動車整備士(1級二輪を除く)または2級自動車整備士等で、電子制御装置整備の講習を修了した整備主任者の選任が必要です。4年間の経過措置は2024年3月31日で終了しています。詳しくは「経過措置期間」のページをご覧ください。

スキャンツールはどんなものでも認証要件を満たしますか。

対象とする自動車の車載式故障診断装置に対応している必要があります。汎用機であっても対応車種・対応機能の範囲を必ず確認してください。

エーミングの費用はいくらぐらいかかりますか。

車種・対象装置・方式によって作業時間が変わるため一律ではありません。対象装置の数、静的か動的か、フロントガラス交換などの付帯作業の範囲、自社実施か外注かで総額が変わります。見積時に作業区分を明示しておくと金額のトラブルを防げます。

エーミングをしないと車検に通りませんか。

警告灯が点灯した状態は保安基準に適合しないと判断されるため、車検を受けられない場合があります。作業後にスキャンツールで故障コードを確認し、警告灯が消えていること・作動確認まで済んでいることを確認してから引き渡してください。

エーミング作業の記録は、どのように残せばよいですか。

点検整備記録簿に作業内容を記載し、保存します。実施した方式や使用した機器、故障コードの確認結果まで残しておくと、後の問い合わせに答えられます。手書き運用のままだと記載漏れが起きやすいため、自動車整備システムで見積・請求と記録簿を一体で扱う運用が現実的です。書き方の具体例は「特定整備記録簿の書き方」で解説しています。日本カーネットの自動車整備ソフト「DREAM POWER」は、記録簿の作成と電子保存、スマホからの車歴入力に対応しています。

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関連ページ・お問い合わせ

制度と経過措置もあわせてご確認ください。

特定整備制度とは分解整備との違い・認証区分・作業場の基準
経過措置期間4年間の猶予は2024年3月31日で終了
特定整備記録簿の書き方記載事項・保存期間・記入例・電子保存

※本ページは作業の概要をわかりやすく整理したものです。実際の作業方式・規定値は車種ごとに異なりますので、必ず各自動車メーカーの整備要領書に従ってください。認証に関する最終的な判断は、管轄の運輸支局または各都道府県の自動車整備振興会にご確認ください。